【判明】公認心理師試験の合格基準は正答率60%以上というのは間違い

【判明】公認心理師試験の合格基準は正答率60%以上というのは間違い

公認心理師試験の合格基準について知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか?

また、今後の合格基準がどうなっていくのか知りたい人もいると思います。

この記事を読むことで公認心理師試験の合格基準、さらに今後の合格基準がどうなっていくのかについて解説します。

公認心理師試験の合格基準

公認心理師の合格基準

まず、現在の公認心理師試験の合格基準について解説します。

第1回試験から第3回試験までは230点満点中138点以上、第4回試験では143点以上

第1回試験から第3回試験までの合格基準は、230点満点中138点以上でした。

しかし、下記にあるように第4回試験でははじめて合格基準が230点満点中143点以上に変更されました。

第4回公認心理師試験の合格基準

これで公認心理師試験で合格基準が変更されたという実績ができました。

そのため、今後も合格基準は変更される可能性は十分にあります。

ただし、配点には注意が必要

公認心理師試験を午前問題と午後問題に分け、それぞれ一般問題と事例問題の問題数、配点から合計得点をまとめてみました。

まず、午前問題についてです。

【午前問題】

一般問題:58問 × 1点 = 58点

事例問題:19問 × 3点 = 57点

【問題数】77問、【合計得点】115点

次に、午後問題についてです。

【午後問題】

一般問題:58問 × 1点 = 58点

事例問題:19問 × 3点 = 57点

【問題数】77問、【合計得点】115点

午前と午後で全く同じですね。

これらを合計すると、154問230点満点の試験となります。

ただ、気をつけないといけないのは、午前午後ともに事例問題の配点が3点となっている点です。

そのため、一般問題は116問なのに対して事例問題が38問と問題数は約1/3なのですが、配点は一般問題が116点なのに対して事例問題が114点とほぼ同じになります。

合格基準は正答率60%ではなく得点率60%になっている

公認心理師については公認心理師試験が行われる前にどのような制度にするか公認心理師カリキュラム等検討会で話合いが行われていました。

そして、話し合われた内容について公認心理師カリキュラム等検討会報告書にまとめられています。

公認心理師カリキュラム等検討会報告書のp.30には公認心理師試験の合格基準について次のように記載されています。

3.合格基準

  全体の正答率は60%程度以上を基準とする。基本的能力を主題とする問題の正答率は、試験の実施状況を踏まえ、将来的に基準となる正答率を定める。

公認心理師カリキュラム等検討会報告書

しかし、実際の公認心理師試験では正答率60%以上ではなく、得点率60%(138点)以上が合格基準となっています。

公認心理師カリキュラム等検討会報告書には合格基準を全体の正答率が60%程度以上となっていますが、実際の合格基準は得点率が60%以上となっています。

事例問題が全問正解できれば、154問中62問の正解で合格できます。

その時の正答率は約40%しかありません。

合格基準が143点以上になった第4回試験でも事例問題に全問正解できれば、154問中67問の正解で合格できます。

その時の正答率も約44%しかありません。

公認心理師試験の合格基準は今後どうなっていくのか?

公認心理師の合格基準が今後どうなっていくのか?

では、公認心理師試験の合格基準は今後どうなっていくのでしょうか?

合格点の変更

第4回試験で合格基準を変更するという実績ができた以上、今後も試験の得点分布によって合格基準は変更される可能性が十分にあります。

このあとに「事例問題の配点見直し」「一般問題、事例問題に基準点」「分野毎に基準点」の話をしますが、移行期間中にこれらが行われる可能性は低いです。

移行期間中は、この合格点の変更のみが行われると考えています。

事例問題の配点見直し

移行期間終了後、事例問題の配点を見直す可能性があると思っています。

というか見直すべきだと思っています^^;

一般問題が1問1点なのに対して、事例問題が1問3点というのは高すぎます。

仮に事例問題に全問正解した場合、合格基準に到達するためのシュミレーションをしてみました。

まず、午前問題についてです。

【午前問題】

一般問題:12問 × 1点 = 12点

事例問題:19問 × 3点 = 57点

【正答数】31問、【合計得点】 69点

次に、午後問題についてです。

【午後問題】

一般問題:12問 × 1点 = 12点

事例問題:19問 × 3点 = 57点

【正答数】31問、【合計得点】 69点

午前、午後をまとめると次の通りです。

【午前・午後】

一般問題:24問 × 1点 = 24点

事例問題:38問 × 3点 = 114点

【正答数】62問、【合計得点】 138点

このように一般問題116問中24問しか正答しなくても、合計138点となり合格できてしまいます。

一般問題116問中24問が正解ということで、この場合の一般問題の正答率は21%未満です。

この場合、全体では154問中62問が正解ということで、全体の正答率は約40%で合格できることになります。

もちろん、事例問題が全問正解すればの話ですが、一般問題で2割程度しか取れない人が合格するのは正直どうかと思います

第1回公認心理師試験については、2018年9月9日の試験から2018年11月30日の合格発表まで約2ヶ月半以上の期間がありました。

その間に、合格者数について色々なシュミレーションを行ったと考えています。

具体的には、最初に全ての問題を1問1点で計算してみたのではないでしょうか?

しかし、想定しているよりもはるかに合格者数が少なかった…

そこで1問につき2つ回答するものについて、それぞれの回答につき1点ずつの配点にして再計算…

しかし、想定しているよりもかなり合格者数が少なかった…

そこで、今度は事例問題の配点を1問2点で計算…

しかし、それでも想定している合格者数に満たなかった…

そこで最後の手段として事例問題の配点を1問3点で計算…

すると合格者数が想定していた人数に達した…

あくまでも推測ですが、このようなシュミレーションを行った結果、事例問題を1問3点にしたと考えています。

そして、これまでのすべての公認心理師試験で一般問題は1問1点、事例問題は1問3点でした。

事例問題の配点は見直すべきだと思っていますが、おそらく特例措置がある移行期間中はこの配点は変わらないでしょう。

一般問題、事例問題に基準点

移行期間終了後は一般問題、あるいは事例問題に基準点が設けられるのではと思っています。

すでにお話ししたように公認心理師カリキュラム等検討会報告書に合格基準について次の記載があります。

3.合格基準

  全体の正答率は60%程度以上を基準とする。基本的能力を主題とする問題の正答率は、試験の実施状況を踏まえ、将来的に基準となる正答率を定める。

公認心理師カリキュラム等検討会報告書

公認心理師カリキュラム等検討会報告書に書かれている基本的能力を主題とする問題が、何を指しているのかは分かりません。

仮に一般問題だとすれば、全体として60%以上の得点率だったとしても一般問題が基準となる正答率に達していなければ不合格になるのではと思っています。

同じく事例問題だった場合、全体として60%以上の得点率だったとしても事例問題が基準となる正答率に達していなければ不合格になるのではないかと考えています。

ただし、一般問題や事例問題に基準点を設けることも特例措置がある移行期間中はないでしょう。

分野毎に基準点

可能性としてはかなり低いとは思いますが、分野毎に基準点を設けることもあり得ます。

公認心理師は保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5分野で活躍することが期待されています。

そのため、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働のそれぞれの分野で最低何%以上という基準を設け、その基準を超えなければ不合格とするようなことがあるかもしれません。

ただし、分野毎に基準点を設けることも特例措置がある移行期間中はないでしょう。

また、移行期間終了後も可能性としては低いと思います。

公認心理師試験の合格基準が変わっても合格する方法

公認心理師の合格基準が変わっても合格する方法

最後に、公認心理師試験の合格基準が変わっても合格する方法について解説します。

一般問題、事例問題どちらでも得点できる

これまで話してきたように公認心理師試験では事例問題の配点が1問3点と高く、かなり現任者に配慮していたように思います。

おそらく移行期間中はこの配点のままだと思いますが、移行期間終了後はどうなるか分かりません。

また、移行期間中でも事例問題に難しい問題が集中して得点が稼げないことも考えられます。

そのため、一般問題、事例問題どちらでも得点できるようにすることが重要です。

そして、これは公認心理師試験に限ったことではありません。

大学院時代に将来臨床しかしないからという理由で心理統計や心理研究法についてあまり勉強しない人がいましたが、とても残念なことだと思います。

基礎と臨床が車の両輪であるように、一般問題も事例問題も両方解けるように努力すべきです。

どの分野でも得点できる

公認心理師は、5分野で活躍することが期待されています。

そのため、分野毎に基準点が定められたとしても、ある程度どの分野でも得点できる必要はあると思います。

もちろん、5分野すべてで経験がある人は、なかなかいないと思います。

そのため、得意分野や不得意分野があるのは仕方がありませんが、ある程度どの分野であっても得点できるように努力する必要はあります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

公認心理師試験の合格基準、今後合格基準がどう変わっていくのか、さらに合格基準が変わったとしても合格する方法について解説しました。

まとめると

公認心理師試験の合格基準

  • 第1回試験から第3回試験までは230点満点中138点以上、第4回試験では143点以上
  • ただし、配点には注意が必要
  • 合格基準は正答率60%以上ではなく得点率60%以上になっている

公認心理師試験の合格基準は今後どうなっていくのか?

  • 合格点の変更
  • 事例問題の配点見直し
  • 一般問題、事例問題それぞれに基準点
  • 分野毎に基準点

公認心理師試験の合格基準が変わっても合格する方法

  • 一般問題、事例問題どちらでも得点できる
  • どの分野でも得点できる

今後も合格基準や配点がどうなっていくのか要注目ですね。

公認心理師試験合格者(未登録)・臨床心理士。 社会人から一念発起して第一種臨床心理士指定大学院を受験し、臨床心理士になる。社会人から臨床心理士試験に合格した経験を活かして公認心理師試験対策講座を開講。自身も第1回公認心理師試験に合格。その後、臨床心理士試験模擬面接、臨床心理士試験論述対策、臨床心理士試験対策講座を開講し、公認心理師・臨床心理士を目指す人の支援を行っています。