「公認心理師試験に役立つ参考書がほしい・・・」
「公認心理師試験に役立つ参考書ってどれを選べば良いんだろう・・・」
ここで言う参考書は、テキストとは区別しています。
テキストは教科書的な本、問題集は問題集、参考書はテキストの補助的な本を考えています。
なので、ここではテキストの補助となるような本を参考書として紹介します。
公認心理師のテキストについては【推奨】公認心理師のテキストでおススメを紹介【現役講師が解説】で解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。
公認心理師の問題集については【推奨】公認心理師の問題集でおススメを紹介【現役講師が解説】で解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。
この記事を読むことで公認心理師試験に役立つおススメの参考書、そのような参考書の有効な使い方が分かります。
目次
公認心理師の参考書

まず、公認心理師の参考書としておススメをご紹介します。
DSMー5 精神疾患の分類と診断の手引き
DSMー5は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association:APA)が発行している書籍で精神障害の分類と診断のためのマニュアルです。
私が持っているのは、「Mini-D」と呼ばれる小冊子の方です。
私がこの本を知ったのは、確か大学院生のときでした。
臨床心理士試験を受けるときにこの本を買おうか迷いましたが、結局買いませんでした。
第1回公認心理師試験を受験する際にもこの本を買おうか迷いましたが、結局買いませんでした。
ただ、これから公認心理師試験を受験するのであれば間違いなく買いますね。
というのは、第1回公認心理師試験から難易度が上がっていて、DSM-5についても理解していないと解けない問題が出題されているからです。
下記は、第4回公認心理師試験の問13です。
DSMー5の神経発達症群/神経発達障害群に分類される障害として、正しいものを1つ選べ。
① 素行症/素行障害
② 脱抑制型対人交流障害
③ 神経性やせ症/神経性無食欲症
④ 解離性同一症/解離性同一性障害
⑤ 発達性協調運動症/発達性協調運動障害
第4回公認心理師試験問13
正解は、⑤です。
下記は、第4回公認心理師試験の問14です。
DSMー5の心的外傷およびストレス因関連障害群に分類される障害として、正しいものを1つ選べ。
① 適応障害
② ためこみ症
③ 病気不安症
④ 強迫症/強迫性障害
⑤ 分離不安症/分離不安障害
第4回公認心理師試験問14
正解は、①です。
これらについてなんとなく分かる人もいるかもしれません。
しかし、DSMー5を読んでいないとけっこう厳しいのではないかと思います。
また、第4回試験でははじめて事例問題でDSMー5について問う問題が出題されました。
下記は、第4回公認心理師試験の問136です。
20歳の女性A。Aは、無謀な運転による交通事故や自傷行為及び自殺未遂でたびたび救急外来に搬送されている。また、Aは交際相手の男性と連絡が取れないと携帯電話を壁に叩きつけたり、不特定多数の異性と性的関係を持ったりすることもある。現在、救急外来の精神科医の勧めで、公認心理師Bによる心理面接を受けている。初回面接時には、「Bさんに会えてよかった」と褒めていたが、最近では、「最低な心理師」と罵ることもある。Aは、礼節を保ち、にこやかに来院する日もあれば、乱れた着衣で泣きながら来院することもある。心理的に不安定なときは、「みんな死んじゃえ」と叫ぶことがあるが、後日になるとそのときの記憶がないこともある。
DSMー5の診断基準に該当するAの病態として、最も適切なものを1つ選べ。
① 双極Ⅰ型障害
② 素行症/素行障害
③ 境界性パーソナリティー障害
④ 犯行挑発症/反抗挑戦性障害
⑤ 解離性同一症/解離性同一性障害
第4回公認心理師試験問136
正解は、③です。
DSMー5について問う問題は精神疾患の診断基準に関する問題が多いのですが、第3回公認心理師試験の問88はDSMー5そのものについての問題でした。
精神疾患の診断・統計マニュアル改訂第5版〈DSMー5〉について、正しいものを1つ選べ。
① 機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している。
② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている。
③ 強迫症/強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される。
④ 生活機能を心身機能・身体構造・活動及び参加の3要素で捉えている。
⑤ 分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」に分類される。
第3回公認心理師試験問88
正解は、②です。
DSM-5は試験対策本のように試験のときだけ役立つものではなく、公認心理師資格を取得後も使う可能性があるため、手元に置いておいて損はないでしょう。
ICDー10 精神および行動の障害-臨床記述と診断のガイドライン-
ICDー10は、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類のことです。
第1回追加試験、第2回試験、第3回試験、第4回試験ではICDー10について問う問題はありませんでした。
しかし、第1回公認心理師試験ではICDー10について問う問題が問35、問48の2問出題されています。
下記は、第1回公認心理師試験の問35です。
ICDー10の解離性(転換性)障害について、誤っているものを1つ選べ。
① 自殺の危険性がある。
② 身体症状を伴う場合がある。
③ 幼少時の被虐待体験が関連している。
④ 自らの健忘には気づいていないことが多い。
⑤ 可能な限り早期に外傷的な記憶に踏み込んで治療すべきである。
第1回公認心理師試験問35
正解は、⑤です。
下記は、第1回公認心理師試験の問48です。
ICDー10の病的窃盗の診断基準及びDSMー5の窃盗症の診断基準のいずれにも含まれないものを1つ選べ。
① 窃盗行為は利得のためではない。
② 窃盗行為に及ぶ前に緊張感が高まる。
③ 窃盗行為に及ぶとき解放感が得られる。
④ 窃盗行為は少なくとも6か月間にわたって起こっている。
第1回公認心理師試験問48
正解は、④です。
これらの問題はICDー10の内容を知らなければ正解するのは難しい問題ではないでしょうか?
ICDー10も試験対策本のように試験のときだけ役立つものではなく、公認心理師資格を取得後も使う可能性があるため、手元に置いておいて損はないでしょう。
精神診療プラチナマニュアルGrande 第2版
こちらは、精神科医の松崎朝樹さんが書かれた本です。
この本は臨床心理士試験、公認心理師試験を受験した後に存在を知り、購入しました。
精神診療プラチナマニュアル第2版には、通常の大きさとGrandeという拡大版の2種類があります。
実はこれまでに紹介したDSMー5とICDー10は本の大きさが小さくて、見づらいと思っていました。
そのため、この本を買う際には拡大版であるGrandeを選びました。
ちなみに、通常版は見たことがないので、実際にどのぐらいの大きさなのかは知りません^^;
DSMー5やICDー10はいかにもマニュアルという感じですが、こちらは実際の現場に即した内容になっています。
この本も公認心理師試験が終わった後にも役立つ場面が多そうです。
特に精神科やクリニックなど医療分野で働く公認心理師にとっては、手元に置いておきたい本でしょう。
公認心理師の参考書の有効な使い方

主要な精神疾患について読んでおく
時間があるときに、主要な精神疾患については読んでおくと良いです。
どこまでが主要な精神疾患なのかという話もありますが、最初は統合失調症やASDやADHDなど主要な精神疾患からで良いと思います。
その後、テキストに出てくる精神疾患だったり、問題集や模試で出題された精神疾患について読むという方法でも良いと思います。
最初は読みにくいと感じますが、読み続けることで、ある程度は慣れることができます。
テキストと合わせて参考書として読む
テキストで精神疾患を勉強しているときに、ついでに参考書を読む方法です。
テキストで精神疾患の基礎を勉強しつつ、DSMー5やICDー10の定義も一緒に確認するイメージです。
例えばテキストでASDについて勉強した時に、DSMー5やICDー10のASDの診断基準についても一緒に確認します。
問題を解いて解説を読むときに参考書として読む
DSMー5やICDー10に関する問題を解いた後、実際にDSMー5やICDー10で確認する方法です。
また、DSMー5やICDー10に関する問題に限らず、精神疾患についての問題を解いた後にも解説とともにDSMー5、ICDー10にどのような記述があるのかを確認して理解を深めることができます。
例えば問題集や模試等でパニック障害の問題を解いた後に、解説を読みながらDSMー5やICDー10のパニック障害の診断基準についても一緒に確認します。
まとめ
いかがだったしょうか?
公認心理師試験に役立つ参考書を紹介しました。
テキストや問題集だけでも大変で、これらの本まで勉強する余裕はないのかもしれません。
また、正直、これらの本まで勉強しなくても合格できる人はいると思います。
私も臨床心理士試験、公認心理師試験のときにはここで挙げたすべての参考書を持っていませんでしたが、合格することができました。
ただ、公認心理師試験に万全の態勢で臨みたい人にとっては買っておいて損はないと思います。
何よりも、公認心理師試験が終わった後にも活用できる本です。