「公認心理師には現任者が受験できるルート(Gルート)があるらしい」
「自分にGルートで受験資格があるのか知りたい」
このように思っている人も多いのではないでしょうか?
このホームページで1番多いお問い合わせも「私はGルートで受験できますか?」という質問です。
そこで今回は、改めて公認心理師のGルートについて解説します。
とても重要なことなので最初に言っておくと、最終的に受験資格が認められるかどうかは願書を出してみないと分かりません(笑)。
ただし、この記事を読むことで、自分がGルートで受験できそうかの判断はできると思います。
目次
公認心理師のGルートとは

公認心理師になるにはAルートからGルートまでの受験資格の区分があり、それぞれのルートにより受験のための要件や試験を受ける際の提出書類が異なります。
公認心理師の受験資格については【完全】公認心理師の受験資格8パターン全てを分かりやすく解説で解説しています。
そして、Gルートというのは現任者を対象としたルートです。
Gルートについて詳しくは第4回公認心理師試験「受験の手引」(デジタルブック)を見ていただければと思いますが、分かりやすくまとめると次の①から③までを全て満たす人ですね。
①2017年9月15日時点で公認心理師法第2条第1号から第3号に掲げる行為を業として行っていた者(いわゆる現任者。2017年9月15日時点で業務を休止又は廃止してから5年を経過しない者を含む。)
公認心理師法第2条第1号から第3号に掲げる行為というのは、次の通りです。
1.心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
2.心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
3.心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
公認心理師法第2条
②公認心理師現任者講習会を修了した者
③施行規則附則第6条で定める施設において、公認心理師法第2条第1号から第3号までに掲げる行為を、5年以上、常態として週1日以上、業として行った者
施行規則附則第6条で定める施設というのは、次の通りです。
1.学校教育法に規定する学校
2.裁判所法に規定する裁判所
3.地域保健法に規定する保健所又は市町村保健センター
4.児童福祉法に規定する障害児通所支援事業若しくは障害児相談支援事業を行う施設、児童福祉施設又は児童相談所
5.医療法に規定する病院又は診療所
6.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神保健福祉センター
7.生活保護法に規定する救護施設又は更生施設
8.社会福祉法に規定する福祉に関する事務所又は市町村社会福祉協議会
9.売春防止法に規定する婦人相談所又は婦人保護施設
10.知的障害者福祉法に規定する知的障害者更生相談所
11.障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する広域障害者職業センター、地域障害者職業センター又は障害者就業・生活支援センター
12.老人福祉法に規定する老人福祉施設
13.青少年の雇用の促進等に関する法律に規定する無業青少年の職業生活における自立を支援するための施設
14.労働安全衛生法に規定する労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための必要な措置を講ずる施設
15.更生保護事業法に規定する更生保護施設
16.健康保険法等の一部を改正する法律に規定する介護療養型医療施設又は介護保険法に規定する介護老人保健施設、介護医療院若しくは地域包括支援センター
17.法務省設置法に規定する刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院若しくは入国者収容所又は地方更生保護委員会若しくは保護観察所
18.厚生労働省組織令に規定する国立児童自立支援施設
19.ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に規定するホームレス自立支援事業を行う施設
20.独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法に規定する独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
21.発達障害者支援法に規定する発達障害者支援センター
22.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者福祉サービス事業、一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業を行う施設、基幹相談支援センター、障害者支援施設、地域活動支援センター又は福祉ホーム
23.就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する認定こども園
24.子ども・若者育成支援推進法に規定する子ども・若者総合相談センター
25.子ども・子育て支援法に規定する地域型保育事業を行う施設
そして、上記施設に準ずる施設として文部科学大臣及び厚生労働大臣が認める施設
施行規則附則第6条で定める施設
公認心理師のGルートの実務経験5年についての注意点

Gルートでの受験を検討されている方に注意していただきたいのが、実務経験5年の考え方です。
下図は、第4回公認心理師試験「受験の手引」(デジタルブック)に掲載されている実務経験期間の具体的な考え方の例です。

ここで注目していただきたいのが、例3~4、例5~7になります。
例3は2017年9月15日において業を行っていますが、その前の実務経験4年というのはかなり前です。
例4も2017年9月15日において業を行っていますが、その後、間が空いての実務経験1年となっています。
例3や例4のように、間が空いていても受験資格が認められます。
また、例5~7は2017年9月15日において当該業務を休止し、又は廃止した日から起算して5年を経過していない人の例です。
このように2017年9月15日に業務を行っておらず、間が空いていてもGルートで受験資格が認められます。
実務経験5年に満たない場合はボランティアをするという方法もある

この記事を読んでいる読者の中には、あと少しで実務経験5年になるところだったのに新型コロナウイルスの影響で公認心理師法第2条第1号から第3号の業務ができていない方もいるかもしれません。
そういう人は、ボランティア活動をしてみてはいかがでしょうか。
日本心理研修センターのQ&Aに、ボランティアも実務経験として認めることが明記されています。
Q. ボランティアでも実務経験として認められますか。
A. 施設の証明権限のある代表者が,反復継続する意思を持って従事するボランティアを実務経験として認めることは差し支えありません。
日本心理研修センター:Q&A
もちろん、ボランティアであっても実務経験を証明する書類が必要なのは言うまでもありません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
Gルートについてなるべく分かりやすく解説したつもりです。
Gルートでの受験資格の有無についての問い合わせ先としては公認心理師試験を運営している日本心理研修センターがありますが、下記の記載があり、個別の受験資格の有無に関する照会には答えていないようです。
当センターでは,皆さま個々の大学院等での履修状況(いわゆる科目の読替え)や,ご勤務されている場合はご勤務の実情等が正確に分からないため,個別の受験資格の有無に関する照会にはお答えしておりません。つきましては,法令,文部科学省及び厚生労働省の通知文書等で受験資格要件等をご確認の上,自己の責任において確認いただくようお願いします。
日本心理研修センター:Q&A
つまり、冒頭で話したように最終的に受験資格が認められるかどうかは願書を出してみないと分かりません。
ただ、Gルートで受験する人は公認心理師現任者講習会を受ける必要がありますし、実務経験証明書、実務経験を客観的に証明する書類等(会社、法人登記簿謄本等)を用意する必要があります。
書類が揃うまでに、かなり時間が掛かることもあるでしょう。
そのため、第4回公認心理師試験をGルートで受験予定の人は第4回公認心理師試験「受験の手引き」を請求し、なるべく早く準備することをおすすめします。
第4回公認心理師試験の受験の手引きについては【必見】第4回公認心理師試験の「受験の手引き」をいち早く解説で解説しています。