公認心理師と臨床心理士の違いを知りたい人も多いのではないでしょうか?
公認心理師や臨床心理士には求められているものを含めさまざまな違いがあります。
この記事を読むことで公認心理師と臨床心理士の違いが分かります。
目次
公認心理師と臨床心理士の主な違いは3つ

業務内容の違い
公認心理師と臨床心理士では、想定されている業務内容が違います。
公認心理師に想定されている業務内容は次の通りです。
公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保険医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。
(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
厚生労働省:公認心理師
臨床心理士に想定されている業務内容は次の通りです。
①臨床心理査定
②臨床心理面接
③臨床心理的地域援助
④上記①~③に関する調査・研究
日本臨床心理士資格認定協会:臨床心理士の専門業務
公認心理師と臨床心理士の業務内容の主な違いは、(4)と④の部分です。
公認心理師は広く国民に向けて心の健康に関する教育や情報の提供が求められています。
一方、臨床心理士は査定、面接、地域援助に関する調査や研究となっています。
支援が必要な人だけではなく一般の人へ向けても活動する公認心理師と研究にも重きを置いている臨床心理士の違いが見えます。
国家資格と民間資格の違い
公認心理師資格は国家資格ですが、臨床心理士資格は民間資格です。
公認心理師資格は、日本初の心理学の国家資格になります。
一方、臨床心理士資格は臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格になります。
資格取得までのカリキュラムの違い
2022年1月6日現在、公認心理師は移行期間中です。
公認心理師は、2022年までは移行期間として条件付きで現任者に受験資格が認められています。
そのため、ここでは移行期間終了後の公認心理師になるメインルートについてお話しします。
移行期間終了後、公認心理師になるには大学卒業+大学院修了がメインルートになります。
つまり、公認心理師のカリキュラムに沿った大学卒業、公認心理師のカリキュラムに沿った大学院修了が必要になります。
一方、臨床心理士になるには大学院修了が必要になります。
こちらもどの大学院でも良いわけではなく、臨床心理士の指定大学院(第1種指定大学院、第2種指定大学院、専門職大学院)を修了する必要があります。
第1種指定大学院は修了後すぐに臨床心理士試験を受験することができます。
第2種指定大学院は修了後1年の実務経験を経て臨床心理士試験を受験することができます。
専門職大学院は修了後すぐに臨床心理士試験を受験することができ、臨床心理士試験で論述試験が免除されます。
ただし、臨床心理士の場合、大学は心理学部を卒業している必要はなく、どの学部卒でも指定大学院を修了していいればOKです。
公認心理師と臨床心理士の試験の違い

ここでは、公認心理師と臨床心理士の試験の違いについて解説します。
公認心理師は筆記試験、臨床心理士は筆記試験と面接がある
公認心理師試験は、マークシートの筆記試験のみです。
一方、臨床心理士試験は一次試験としてマークシートの筆記試験、論述試験が行われ、一次試験合格者を対象に二次試験として面接が行われます。
公認心理師と臨床心理士の合格率の違い
公認心理師と臨床心理士の合格率は、次の通りです。

公認心理師試験がはじまったのが2018年なので、まだ4回分しかデータがありません。
臨床心理士試験の方は約30年の歴史がありますが、ここ最近はずっと60%ぐらいです。
また、現在、公認心理師試験は移行期間中で合格率が激しく動いています(笑)
第1回公認心理師試験の合格率の詳細については【予測】公認心理師の合格率は今後下がり続けるという話で解説しています。
第2回公認心理師試験の合格率の詳細については【2019年】第2回公認心理師試験の合格率から分かることで解説しています。
第3回公認心理師試験の合格率の詳細については【2020年】第3回公認心理師試験の合格率と今後を予測してみたで解説しています。
第4回公認心理師試験の合格率の詳細については【衝撃】第4回公認心理師試験の合格率が明らかに【第5回も予測】で解説しています。
今後、公認心理師と臨床心理士に期待されていることの違い

今後、私が思う公認心理師と臨床心理士に期待されていることについて解説します。
公認心理師に期待されるのは多職種連携
公認心理師に期待されるのは、何と言っても多職種連携だと思います。
公認心理師は保健医療、福祉、教育、司法、産業の5分野で活躍することが期待されています。
そして、どの分野にも多職種が存在します。
例えば、保健医療であれば、医師、看護師、精神保健福祉士、薬剤師などです。
公認心理師はこのような専門性の異なる他職種の人達と上手くコミュニケーションを取りながら仕事を進めていくことが求められます。
一言で言うと、調整役のような役割が期待されていると考えています。
これは、本来であれば臨床心理士に期待されていた役割なのかもしれません。
ただし、臨床心理士がその期待に応えきれていないという現状があります。
そういう背景からも、公認心理師に期待されるのは多職種連携だと考えています。
臨床心理士に期待されるのは個別カウンセリングや研究成果
臨床心理士に求められるのは、より深い専門性だと考えています。
例えば、50分の個別カウンセリングや研究などです。
先程5分野の話をしましたが、それとは別に開業があると考えています。
この開業については、特に臨床心理士に期待される部分なのではないかと考えています。
なぜなら、開業は個別カウンセリングなどの専門性が必要になるからです。
また、研究については公認心理師の業務内容には含まれていないため、臨床心理士に期待されている役割だと考えています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
公認心理師と臨床心理士の主な3つの違い、試験内容の違い、さらに期待されていることの違いについて解説しました。
まとめると
公認心理師と臨床心理士の主な3つの違い
- 公認心理師には広く一般の人に向けての業務があり、臨床心理士には調査・研究がある
- 公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格
- 公認心理師になるためには大学卒業と大学院修了が必要で、臨床心理士になるには大学院修了が必要
公認心理師と臨床心理士の試験内容の違い
- 公認心理師はマークシートの筆記試験がある
- 臨床心理士は一次試験としてマークシートの筆記試験と論述試験があり、二次試験として面接試験がある
今後、公認心理師と臨床心理士に期待されることの違い
- 公認心理師に期待されているのは多職種連携
- 臨床心理士に期待されているのは個別カウンセリングや研究や開業
上手く棲み分けができると良いのですが、今後に要注目ですね。